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C56が好き!

過半数が南方の戦地に送られたC56ですが、もしも戦争が無く、全機が健在であれば、日本もスイスのような鉄道の充実した国になったのではと、夢想してしまいます。

国鉄の標高最高地点の駅、野辺山駅の側線に休むC56。美しく保たれた駅構内が、元気だった鉄道を伝えてくれます。軸重11トン以下で、C12よりも軽いC56を生かした路線を拡大したら、全国くまなく鉄道輸送のネットワークが作られ、鉄道が脱炭素時代の輸送に役立ったのではなかろうか? そんな想像をさせる楽しさが、この機関車にはあるようです。

単機回送で野を行くC56。 小型機でありながら、大煙管に過熱器を持った事で、小型機を超えた性能を実現したC56は、C56よりも重たい、明治の輸入機関車の代替として考案され、その軽量から、出現当時、最も低規格であった丙線よりも安価で建設出来る簡易線を具体化しました。また、過熱式機関車は、ボイラーから取り出したスチームを大煙管の中に設置した過熱管を煙室から火室まで往復させて、高温のスチームを作る仕組みですから、C56のような小径ボイラーで過熱管を持たせるのは画期的だったのです。

軽量級チャンピオン、C56の面魂。 煙室からの煙管のメンテナンスを楽にするために、煙室扉を大きく設計、ヘッドライトは煙室の上に乗ってしまいました。また、軽量化の為に給水温め器は取り付けず、給水ポンプも持ちません。 台枠の構造で、煙室の下で上回り全体を支える缶台と、主台枠前部の構造物を一体の鋳造部品として軽量化と剛性アップをしているのも初の試みです。 外観では、シリンダー前部にピストンロッドをカバーするシリンダー尻棒が無く、アメリカの近代機に共通する仕様が採用されています。

小淵沢駅構内で入換に励むC56。曲線通過に有利な機関車ですから、引込線を多数敷設すれば、企業の工場や倉庫に出入りして、大口の貨物も集荷出来そうです。従台車を持たない機関車は後進で第3動輪のフランジが摩耗すると言われますが、短区間の貨物専用線であれば速度は要求されないので、バック運転時は低速でと決めれば対応できます。

勿論、本来の輸送密度が低い路線もC56でカバーして、鉄道網全体の輸送量を確保し、同時に鉄道輸送の範囲を、点から線へとつなぎ、更に引込線で面へと拡大する機能を持たせたら、鉄道輸送の可能性が極限まで広がった筈です。

ブログ記事の資料にと、友人が送ってくれた小海線へのC56の貸出の記録の走り書きです。無煙化の波にC56のような小型機が最後まで生き残れたのは、液体式ディーゼル機関車でC56並の軽量な機関車は開発が遅れたためでした。

小さなC56があちこちから貨物を集め、人を運び、それらは幹線に集められ遠方に運ばれ、そして送られた先で、またもやC56やC12が引き継いで、輸送のあらましが全国で完結したら素晴らしかったろうな〜と思います。 でも実はこれは、国民の移動する権利を守るという、実は昔からある発想なのでした。

  撮影・写真提供 加藤 潤 横浜市