お安く気軽にゆるっと16番

HOや16番の金属工作を最小限の工具と労力でゆるっと楽しんでいます。皆さんも是非やってみて下さい。

蒸気鉄道の魅力・鉄道を支える人々

遠く稚内を目指してひた走る宗谷本線。停車時間を利用しての給水は欠かせません。凍てつく寒さの中、重い給水スポートを操って給水し、更にはテンダーの石炭を前方に掻き寄せる作業が続きます。

石炭の掻き寄せには機関助士も加わってキツい作業を停車時間内に捗らせます。降雪の季節、降り積もる雪はそのまま列車の抵抗になり、酷寒の中を進む客車にスチーム暖房を提供する為にボイラーはフルに活用されました。いきおい石炭の消費も増えてテンダー前部に積まれた石炭は忽ち薄くなったのでした。列車を遅延させず、凍えて乗り込む乗客に暖かな車内を保つ為に、誰知らず、黙々と掻き寄せ作業は続きます。

雪掻きされた線路際に置かれた停止位置標示板。雪に埋もれて機関士が見落としオーバーランをしないように細心の注意が払われています。停止標示にピタリと停める機関士も熟練なら、停止位置標示板を設置する駅員もプロフェッショナルです。プラットフォームに停車する当たり前の裏には鉄道員達の心意気がありました。

暖房用のスチームが湯気を上げています。客車列車の解結には、エアーブレーキのホースと暖房のホースを外し、連結器上部に付いた梃子を操作して連結器を解放する作業が必要でした。列車から切り離された機関車は機関区や機待ち線で点検や給油を行い、ターンテーブルで向きを変えてから列車に連結されて来た道を戻るのでした。

列車から切り離され、ホームの端で給水しています。ホームはキレイに雪掻きされて乗降客や手荷物扱いに備えています。小口輸送を鉄道が担っていた蒸気鉄道時代には駅が扱う手荷物、小荷物の量は多く、雪のプラットフォームでは荷物車から降ろされた荷物の運搬には橇が使われました。故郷への小荷物、故郷からの小荷物は郵便物や新聞雑誌などと共に駅員に引かれてプラットフォームを移動していたのです。

プラットフォームの先端に交換列車を待つ間に給水塔まわりを除雪する鉄道員の姿が見えます。駅には列車を走らせる為に多くの駅員が配置されていました。切符を売ったり改札したり小荷物を受け渡しするだけでなく、広大な駅構内の維持からポイントや信号の扱い、更には除雪にいたるまで、鉄道員の仕事は多岐にわたっていたのでした。

炭鉱専用線が分岐する駅です。専用線に出入りする石炭車は勿論、様々な資材も鉄道によって運ばれましたから駅の構内は広大です。駅に発着する貨車は機まわり線や側線を利用して入換られ、到着した貨車は貨物ホームに、発送される貨車は貨物列車につながれて目的地へと旅立つのでした。貨物列車には必ず車掌車が連結されていて、貨物列車の車掌は石炭ストーブで暖を取りながら、行く先々の駅での入換作業の指示書を作っていたのでした。車掌車は入換作業が必須だった蒸気鉄道において走る事務室さながらでした。

駅長が機関士と打ち合わせをしています。走行中の蒸気機関車には通信手段はありませんから、今いまの情報は駅で駅長とやりとりするしか無かったのでした。気になる積雪の状態から対向列車や接続列車の運行状況まで、停車時間を活用しての情報交換も大切な業務でした。蒸気鉄道は電話が一般に普及する前から専用の電信設備を持ち、単線区間での通票を使った閉塞などにも活用していました。蒸気鉄道でも線路際に碍子を沢山乗せた通信柱が立っており、通信柱や通信線の維持管理も大切な業務だったのです。

プラットフォームへの通路だけをなんとか除雪して確保しています。駅構内が雪に埋もれると雪捨て列車の出番となりました。豪雪に見舞われ除雪が地域の鉄道員で間に合わなくなると雪の少ない地方から応援の鉄道員が駆けつけ、また地域の有志たちが鉄道の除雪を手伝ったりもしたのでした。乗客は雪道を歩いて駅舎に辿り着くと、赤々と石炭が焚べられた待合室のダルマストーブにあたりながら、列車の到着を待ちました。

停車するC55の煙突の両脇にはトンネル内の氷柱を落とすツララ切りの装備が見えます。機関車を配置された機関区は、鉄路の環境に合わせて様々な工夫を機関車に施していました。 蒸気機関車と言う手間暇のかかる動力車を中心に、鉄道が地域や人々と有機的に結ばれていた蒸気鉄道。遅くて不便で不衛生でしたが、今、振り返ると汽車と関わった人々は何故か輝いているように思えるのです。

 画像は全て宗谷本線

 撮影と写真提供 加藤 潤 横浜市