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高原のキャベツ列車・小海線のC56

八ヶ岳山麓を行く小海線は、夏は大忙し、キャベツ運びの通風車が行き交いました。

バック運転でキャベツ列車を引くC56。 通風車の扉は開けられたままで、木材で積荷の落下を押さえています。C56の特徴のひとつ、スロープバックテンダーがよく分かります。

ついには通風コンテナ!まで動員。 どうやら高原野菜は豊作の様子です。

貨車の入換に活躍中のC56。車扱いの貨車は、積荷を降ろして空車にして、着駅か最寄り駅で貨物の積込みが普通でしたが、通風車は、空車を運び、積込んで直ぐに出発ですから、とても慌ただしいのです。キャベツ専用の臨時列車も走りました。 C56の画面右に矢羽根付ポイント標識が見えますが、ポイントも標識も、駅舎付近の転轍機小屋から、長いロッドとクランクで連動されており、ガシャリと音を立てて、駅員が大きな梃子で切り替えていたのでした。 駅舎から遠いポイントで、ロッド連動が難しい場所へは、入換や列車交換の度に駅員が出向いてポイントを操作しました。

貨物側線にズラリと並んだ通風車の群れ。山間の小駅であっても、貨物側線は数本あり、貨車の入換作業で引上げる為に、駅の構内は雄大でした。ヘルメット着用の構内員からも活気が感じられます。構内員の左に見えるレバーがポイント切り換え用のテコです。

 

ニス塗の窓枠が小さなキャブをお洒落に見せています。C56はタンク機関車のC12とともに、列車単位の小さい簡易線に投入すべく昭和初期に計画された機関車ですが、溶接を多用した軽量構造など、蒸気機関車の製造面での新技術も駆使して製造された機関車でした。 12トン未満の軽い軸重で、鉄道省に買収された私鉄などにも入線出来る、小単位の列車には便利な機関車でした。

デフレクターの支柱がツララ除けを兼ねています。この機関車は夏場だけ小海線に応援に来た糸魚川機関区、大糸線の機関車です。貨物ホームにはうず高く木の枝が積まれています。木材や木材チップも、山間部から運び出される積荷でした。

通風車を引上げる入換中のC56。キハが普及する前は、客車牽引にも活躍しました。キハが導入される前は客貨が分離されず、混合列車が走る路線でした。C56は25‰勾配で100トン程度の牽引力でしたから、貨車2両にオハニやオハフ1両といった編成で走っていたのです。

力走するC56。

簡易線は、万能機8620すら入線出来ない、輸送量の少ない路線でしたが、小さな町や村を巡る路線は、地域の特産品を都市へと、別の地方へとつなぐ、大切な存在でした。汽車が来たから、昼飯にしよう、といった地域の生活に馴染んだ鉄路をC56は走っていたのです。

   撮影・写真提供 加藤 潤 横浜市