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石巻線の貨物列車

気仙沼線を前谷地で分岐、石巻では石巻臨港線を分岐、女川駅から更に奥の女川臨港線ヘと、石巻線の貨物列車の運行はとても変化に富んでいました。鉄道輸送は面白いです。

小牛田駅を出発して田園地帯を進むC11牽引の貨物列車。小牛田駅出発時点では、気仙沼線三陸方面と、石巻港、女川港方面の3方向への貨車が併結されて、C11としては目一杯の長編成です。シンガリの車掌車の中では、車掌さんが各駅での入換指図書を作るのに大忙しだったことでしょう。

陸前稲井石巻から女川方面の最初の停車駅です。ここまで平野を抜けて来た列車は、山をトンネルで抜け、いよいよ海岸へと向います。 汽車の駅は子どもたちの遊び場でもありました。

列車単位の小さい支線の待避線は砂利が半ば土に埋もれ、草も生えて自然と同化しそうです。古枕木を並べた踏切も朽ちて、のどかさと同時に鉄路の歴史を伝えてくれます。

石巻を出発した女川行貨物列車は、女川方面だけの貨車の編成となり、陸前稲井を出た貨物列車は小牛田を出発した時とは別物の短編成なっています。C11も軽々と築堤を駆け登っています。

 

陸前稲井の隣、渡波駅で上り貨物列車が入換を行い、積込みの終わったワムを列車に増結すべく引き出しているところです。貨物扱いのある駅は、プラットフォームの何倍もの長さの待避線と側線を持ち、待避線を機回り線として活用して、貨物列車の組成が行われました。貨物列車の車掌さんは、各駅の線路配置をにらみながら、貨車の解結作業を組み立て、入換指図書を作ったのです。

貨物列車の先頭に立ったC11。水タンクが拡大されたタイプで、タンクの揺れ止のブームがスチームドームを前後に付いています。

 入換を終えた機関車は、本線での走行に向けて、石炭を焚べ、ボイラー圧力を上げて発射を待ちました。

子供が窓から、流れる景色を眺めるのが好きなのは、蒸気機関車時代も変わりません。キチンと靴を脱いで行儀よく座っています。

噴煙を巻き上げ、加速するC11牽引の貨物列車。ワムやトラが雑然と並ぶ、蒸気機関車時代の典型的貨物列車です。

 汽車の駅には必ずあった貨物ホームや側線が撤去され、車扱い貨物が無くなって、各駅で入換を繰り返して進む、停貨列車も消えました。鉄道が地域に物資輸送で貢献した時代は、蒸気機関車が消えてから、たちまち幕を閉じたのです。今の貨物列車には、入換指図書を書く車掌さんはおらず、車掌車そのものも消えてしまいました。

 

 撮影・写真提供 加藤 潤 横浜市