お安く気軽にゆるっと16番

HOや16番の金属工作を最小限の工具と労力でゆるっと楽しんでいます。皆さんも是非やってみて下さい。

いもこ列車・走る、軽便蒸気機関車の動態保存

アングロフランコベルジ・ベルギー製 1946年製造という希少な機関車が山形県西村山郡河北町河北中央公園で走ります。2023年は10月15日と11月3日、10時から12時まで。乗車希望の方は9時半からの整理券受付に間に合うようにおいでください。

河北町には昭和10年まで、軽便鉄道が走っていたそうで、昔、町を走った軽便鉄道を思い起こすきっかけになればと、走らせる事を決めたと言います。機関車には、本体のボイラーを使わない為に、運転室の後に小型ボイラーを搭載するための造作がされ、原型からは著しく形態を損ねていますが、フロントからキャブまでは立派な軽便蒸気機関車です。

運転が終わり、機関庫へ戻る軽便蒸気機関車。 走行は単機で100メートルそこそこの距離を往復するだけですが、独特なベルギー製軽便蒸気機関車の姿は魅力的です。

後部の小型ボイラー室のエンド部分はデッキになっており、乗車スペースです。お子さんたちがワイワイ乗っていてほのぼのした雰囲気です。この追加改造部分の下には、もとの機関車には無かった従輪が設けられています。

もとの機関車自体は軽便蒸気機関車としては、まとまりがある中にメカとしての精巧さを感じさせる良いデザインの車両です。野辺山高原で走っていた機関車と同系列の製品で、共に台湾のサトウキビ列車を引いていました。台湾は2フィート6インチの鉄道網が発達していたので、軽便蒸気機関車も長く活躍していました。

日本国内の軽便蒸気機関車は、太平洋戦争前から、ガソリン動車や、軽便に併走する道路があった場合には自動車輸送そのものから活躍の場を奪われ始めましたが、太平洋戦争による石油の枯渇から、再度、重宝されました。戦争が終わり社会が豊かになると、3フィート6インチの日本の狭軌標準から、更に狭い軌間を採用した軽便鉄道は、連絡駅での貨物の積替えがネックとなり、積替えホッパーなどの機械式の荷役を使えない、一般の軽便鉄道から廃止されていったのです。

低い木立が機関車に影を落とすのも、軽便機関車ならではの情景です。

 

 今、あらためて貨物輸送を振り返って考えてみると、全国各地に敷設され小単位の輸送にまで蒸気機関車が活用された軽便鉄道の時代が、本当の意味での鉄道輸送全盛期だったと言えます。

運転日には乗車待ちで列の出来る人気者、いもこ列車。

 撮影 写真提供  加藤 潤 横浜市