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大井川鉄道・動態保存を始めた頃。

多角経営と観光の集客で奮闘する大井川鉄道ですが、こうした鉄道を社会的な歴史遺産と考えられない国は、貧しいと言うか?、大丈夫なのかな?と感じます。

歴史物の録画でロケにたびたび使われる大井川鉄道国鉄無煙化に合せて蒸気機関車の動態保存にチャレンジしました。ヨーロッパの蒸気鉄道の保存の状態の仕方を見ると、蒸気鉄道の持つ文明資産に価値を見出だせない日本国に、浮かれやすく、忘れっぽい国民性を感じざるを得ません。そんな中で、今も動態保存を続けている大井川鉄道には、心から応援のエールを送りたいです。

今は日本工業大学で動態保存されているダブス製のB6。日露戦争に向けた輸送力強化に大量動員された、非常に歴史価値の高い機関車です。蒸気機関車の運転開始に合せて、静態ですが展示されていました。 B6は鉄道省の前身であった明治時代の鉄道院の付番で、動輪3軸のタンク機関車の6番目の形式であることを表しています。2軸タンクがA、2軸テンダーはD、3軸テンダーがE、4軸テンダーはFでした。

B6と共に展示されていたコッペルのCタンク。全国の地方鉄道や軽便鉄道専用線で活躍したコッペルも、各地で保存されるべき機関車だと思います。この機関車は今も展示施設に置かれているようです。

真面目に蒸気機関車の動態保存に取り組んだ大井川鉄道が、きかんしゃトーマスで客寄せをしなくてもすむような公的な助成制度があって良いと思います。もっと本格的な保存鉄道として、蒸気機関車時代の鉄道輸送をまるごと再現して、蒸気鉄道時代の日本の状態を、体感するのが生きた歴史教育ではないかと考えます。日中戦争から太平洋戦争への傾斜、そして忠君愛国から天皇人間宣言、戦後復興と、国家に翻弄された国民の姿を考える契機にもなるはずです。

新コロナによる観光収入の激減で打撃を受けた大井川鉄道も、ようやく活発に営業を展開し始めたのは嬉しい限りです。先ずは訪れ、乗って応援ですが、歴史が急展開し始めた今日、汽車の価値はロケやトーマスだけじゃ無いんだよと、語り継ぐのも蒸気機関車ファンの努めかもしれません。

 

  撮影・写真提供  加藤 潤 横浜市