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蒸気鉄道の魅力・汽車が鉄橋を渡る時、

C56が丸太を積み込んだトラを連ねた大糸線の貨物列車を引いて鉄橋を渡ります。鉄橋は川を渡るために設けられますが、川沿いに高度を稼いだ鉄路を鉄橋で対岸に渡し、鉄路は更に川沿いに坂を登り詰め、峠を越えるのが、普通の蒸気鉄道の敷設の仕方なのでした。

山また山の中を走り抜き、鉄橋で対岸に渡る大糸線のC56の引く貨物列車。

 国土の多くを山が占める日本の鉄道では、新幹線などの例外を除けば、鉄道は地方交通線に限らず、ウネウネと地形に沿って延伸していきました。平地から山あいに敷設を進めた線路は川に沿って進み、山が深くなれば渓谷沿いの山肌を縫うように走って、多くはトンネルで高度の頂点を迎え、分水嶺を突き抜けて山を越えたのです。


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宮城県から山形県へひた走る陸羽東線は山間部にかかる前にも河川沿いを走り、幾度も鉄橋で川を渡ります。20‰の最大勾配で距離の長い陸羽東線ではC58型が蒸気時代の最後まで大量の貨物輸送に対応して貨物列車の先頭に立ちました。地味な貨物列車の担った物流も、多くの鉄路が延伸された大きな理由だったのでした。


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分水嶺までもう一息。前補機を連結した重連で峠に挑む陸羽東線のC58。鉄橋の下はイワナが棲む奥羽山脈の渓谷です。


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厳しい山肌に貼り付いて進み、鉄橋を渡る米坂線の9600。山中で川が蛇行すると、鉄橋とトンネルを連続させる鉄道建設の難所となります。先人達が苦労して開通させた路線のが多くが今は存続の危機にあります。

 

 勾配線で蒸気機関車が煙を吐いて奮闘すると言うだけでなく、急流岩を咬む渓谷美や、鉄橋そのものの持つ鉄道施設としての構成美からも、多くの鉄橋が汽車の好撮影地として、蒸気機関車ファンから愛されました。 日本の地形と気候、更に3フィート6インチの狭軌鉄道の蒸気機関車の織り成す鉄道情景の素晴らしさは、蒸気鉄道の担った輸送機関としての重要性と共に語りつぐべき歴史の大切なひとコマです。

 撮影・写真提供  加藤 潤  横浜市