お安く気軽にゆるっと16番

HOや16番の金属工作を最小限の工具と労力でゆるっと楽しんでいます。皆さんも是非やってみて下さい。

鉄橋を渡る汽車 会津只見線

川に沿って高度を稼ぎ、うねる川の谷を鉄橋で越える、蒸気鉄道の峠越えに鉄橋とトンネルは付き物でしたが、川がダム湖になっていた只見線では、独特の情景になりました。

山肌に沿って勾配を登り、時には支流をガーダー橋で跨いで進むC11牽引の貨物列車。只見線に大規模な架橋工事が行われたのは、全通時の地域間連絡の経済効果よりも、ダム建設によった発電や治水の為でした。 ダムに堰き止められた川面に煙が映る只見線の冬です。

汽笛を鼓吹して発車を告げるC11の直前に設けられた踏切を渡る御婦人。駆け込み乗車は、蒸気鉄道の時代にも、会津の山中でもありました。C11の引く客車列車は、山の駅を丹念に走り、時には対向列車と交換しながら進みました。

 

デッキガーダーとアンダートラスの連続する、高くスパンの長い鉄橋を渡るC11。ダム工事を目的に鉄路を敷設するのも、ダムそのものを建設するのも、多くの労力と資材を必要とする人間の営為です。それらの努力を一瞬で破壊し、人命までも奪う戦争が、汽車が消えて半世紀も経つのに今だに続いています。創造と破壊が人類の歴史だったとしても、温暖化による地球環境の激変は、人類の歴史の悪しき流れを、今すぐ断ち切ることを求めています。

ワンスパンで只見川を跨ぐ巨大なアーチ型のアンダートラス橋は、橋そのものも人間の構築物として、たいへん価値あるものです、そして橋を取り巻く自然は、紅葉の美しさを含めて素晴らしいです。 橋から紅葉を眺めるとき、こんなところに架橋して線路を敷いた人間って凄いな! 素直に感動できる只見線です。

駅を出発して力行するC11。只見川の山間を煙とスチームで埋める活躍を続けました。蒸気機関車の活躍は歴史の彼方に消えましたが、人間にとって平和は、まだ遠い未来のようです。

 撮影・写真提供 加藤 潤 横浜市