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蒸気鉄道の魅力・大型機の機関区

本線を爆走する急客機も仕業が終われば機関区に戻り、点検整備と給水給炭、更に灰落しと煙室や煙管のシンダーの除去を行いました。蒸気機関車を好調に走らせる為の必須の設備が機関区であり、機関区無しに蒸気機関車は機能し得ないのでした。給水パイプが空を区切り巨大な給水タンクがそびえるC62の基地・糸崎機関区。

蒸気機関車の機関区と言えばターンテーブルは欠かせない設備です。機関車を転向させ、扇形機関庫に多数の機関車を収納させました。扇形機関庫の一部は屋根が嵩上され、機関車のボイラーやフレームを吊り上げるクレーンが設置され、大規模な修理も行われていたのです。石炭と水で疾駆した蒸気機関車は、機関区の整備員によって時には鉄を熱して作り出す部品によって修繕されていたのでした。C62の右側後方には高い照明塔と巨大な給炭槽も見えます。左手には検修庫のような建築も見えます。

大型機に混じってゼブラ塗装の入換専用機も入庫している扇形機関庫。 貨車1両ずつを顧客が借り切って発送する車扱い貨物輸送が盛んだった蒸気鉄道では、入換用の機関車も駅の構内や操車場で大活躍していていました。

油汚れと煤で黒ずんだ機関庫内部。 出場前ともなれば、機関助士によるスチームアップの間に機関士自らもハンマーを片手に打音検査を行い、整備係りは油壺への給油と潤滑状態の目視確認、整備係から機関士への整備状態の報告など、蒸気機関車の周囲には蒸気機関車を走らせる為の人の熱意と熟練の技が集中しました。 

集煙装置と重油タンクを装着したD51。機関区の受け持つ線区の特性に合わせて、蒸気機関車には様々な改造が加えられました。大改造は機関区が所属する鉄道管理局の工場で行われましたが、機関区でも機関区独特の仕様を追加する工事が行われていたのです。シリンダーのピストンバルブの点検を容易にするためのデフレクターへの点検窓の開口やランボードへの白色塗装等、転属して所属する機関区が変わるたびに蒸気機関車は姿を変えて行ったのです。

アッシュピットに駐機するC62。 給炭設備、給水タンクとスポート、灰落しのピットは我々の家に例えれば、さながら台所と卓袱台にトイレでしょうか?、付けて加えて給砂塔、照明塔に電柱、機関士が駆け込む風呂場、運転区事務所、乗務員詰所、線路班詰所、整備班詰所、電力区詰所、鍛冶場等の独立した詰所類と備品庫、油庫等の倉庫類までが機関区の線路の合間や線路脇に張り付いて活気のある機関区の雰囲気が醸し出されていました。幹線の機関区となったら大所帯、大型機の機関区ともなれば周囲には官舎が建ち並び、鉄道の街が形成されました。

ターンテーブルに乗ったC62の上を跨ぐ櫓のてっぺんの回転子には太い電線が配線されています。電線の先には数個のトランスが乗った電柱があるのでしょう。

 手間暇の掛かる蒸気機関車を快調に走らせる為には、多くの人間の知恵と工夫と熱意が結集されていた事実を顧みると、煙を吐いて格好良く走る姿とは別の蒸気鉄道ならではの鉄道の仕組みの奥行きを感じるのでした。

 撮影・写真提供  加藤 潤 横浜市